トップは「センスメイキング理論」
ビジネスパーソンが選ぶ経営理論ランキング

 アンケートでは、皆さんに最も好きな理論を3つ挙げてもらい、1位から3位まで順位付けしてもらいました。1位に5点、2位に3点、3位に1点をつけて、その合計得点をランキング形式で示したのがこちらの表です。

12月21日開催の勉強会の参加者41人から回答を得た。お気に入りの理論を1〜3位まで順位をつけてもらい、1位に5点、2位に3点、3位に1点を加算した合計点をランキング形式で示した。
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 トップは、「センスメイキング理論」です。第2位が「知の探索・知の深化の理論」となりました。

 僕もやはりこの2つが上位になると思っていました。日本の様々なビジネス領域で活躍されている皆さんがいま日本に足りないと、日本に求められていると感じていることなのでしょう。実際、企業でイノベーションをテーマにした講演をする際には、この2つの理論をよく紹介しています。その意味でも「なるほどな」と思いました。

 個人的にとても意外だったのが、第4位の「ダイナミック・ケイパビリティ理論」でした。皆さんが第4位に挙げているということは、きっと皆さんにとっては意外ではないということですよね。第3位は「『弱いつながりの強さ』理論」で、第5位は野中(郁次郎・一橋大学名誉教授)先生の「組織の知識創造理論(SECIモデル)」でした。

 それぞれの理論の解説は本に書いてあるので割愛しますが、面白いのは、第8位の「SCP理論」と、第6位の「リソース・ベースト・ビュー(RBV)」です。前者が「マイケル・ポーター(ハーバード・ビジネス・スクール教授)の競争戦略」の基礎となった理論で、後者がジェイ・バーニー(ユタ大学教授)の理論です。

 2つともMBAの教科書には必ず入るような代表的な理論です。それなのに、トップ5に入っていなかった。つまり、いま日本で求められているのは、MBAの教材で扱われないセンスメイキング理論や知の探索・知の深化の理論などということを示しているのです。

上司や部下に読ませたい理論ランキング
トップは「知の探索・知の深化の理論」

 そして、もう1つアンケートを行いました。僕がMy Favorite理論のほかに、もう1つ興味があるのは、この本の読者が「誰に」「どの理論」を読ませたいのか、という点です。

 本というのは共感のメディアなので、「自分が読みたい」というだけではなくて、「これを読ませたい」という人がそれなりにいるのではないでしょうか。My Favorite理論に対して、「Your Probably Favorite理論」と呼べるもの、これを知りたかったのです。

 そこでアンケートでは、誰にどの理論を読ませたいかについて、3人を挙げてもらい、それぞれどの理論かを選んでもらいました。その集計結果をご紹介しましょう。

 今度は点数を付けないまま、その3つの理論を勧めたい人数の合計でランキングをしました。それが以下の表です。当然、My Favorite理論と似たような結果になるわけですが、少しだけ違いがあります。

勉強会参加者に社長や上司、家族や有名人等、特定の誰かに勧めたい理論を1人3つ、その相手を含めて指定してもらった。当該理論を読ませたい人の合計数を示してランキング形式で示した
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 読ませたいほうのトップは、センスメイキング理論を抜いて、知の探索・知の深化の理論となりました。これは、実に面白い結果です。回答者の方々は、上司や経営者を念頭に、「(イノベーションを起こすうえで必要な)知の探索が足りていないのではないか」と、思っているということですね。

 さらに、ここで急浮上してくるのがリーダーシップ理論や意思決定の理論です。これは誰かを想定しながら「リーダーシップが足りていないよね」や「意思決定ができてないよね」などと思い浮かべているのでしょう。