では、デモ参加者が自分たちの意向を政治に届けるには、どんな取り組みが必要なのか。

「まずは、デモを平和的に継続させることが大切です。そのためには、全共闘運動の失敗などから学び、暴力化、先鋭化することを防がなければなりませんが、現在の主催者はそのことを意識し、回避する努力をしているようです。あとは、いかに自分たちの意見を政治的なチャンネルに結びつけ、政治を変えていくかという点。しかし、1、2年で日本が変わるなどということは、過去の例から見てもあり得ないことなので、やはり粘り強く活動していくことが重要です」(五十嵐教授)

素人デモがゆえに募るジレンマ
無力感は「嵐の前の静けさ」か?

 当然、既存の労働・政治団体には、しっかりした主張を展開している団体も多い。しかし、一般参加者については、「原発について専門的な知識があるわけではない。でも、わからないからこそ怖いし、もっと知りたいと思う」(前出のEさん)という人がほとんどだ。

 だからこそ、今のデモが「運動のプロ」ではない幅広い層を集めることに繋がっている一方、素人であるがゆえに政策への反映プロセスがわからず、ジレンマに陥っている側面もある。

 繰り返し述べるが、原発問題については様々な意見があり、まだまだ議論を深めなければならない。国民の不満や疑問と正面から向き合うことを政府が避け続けていれば、火に油を注ぐことになりかねないことだけは、理解しておく必要があるだろう。

「脱原発」に対する国民の意識が二極化し始めている背景に、無力感やジレンマがあるとすれば、それは「大爆発」へとつながる静かなる予兆なのかもしれないのである。