中東情勢の緊迫化、かく乱要因に

 需給ギャップの先行きには「濃霧」も立ち込めている。中東情勢の緊迫化がかく乱要因だ。米─イランの対立がホルムズ海峡の封鎖に発展すれば、原油の輸入が遮断され、日本の実体経済に大きな影響を及ぼす。昨年後半に弱い鉱工業生産指数が続いたことで、日銀内では今年1―3月期の景気回復の足取りが鈍くなるとの懸念も出ている。

 日銀の黒田東彦総裁は昨年12月の会見で、政府の経済対策による実体経済への好影響に期待感を示した。「政府支出が国内需要を下支えする、あるいはその伸びを高める効果もあるだろう」と述べたほか、物価についても「需給ギャップの押し上げを通じ、プラスの影響を与える」と指摘した。

 日銀は、物価のモメンタムを見るうえで需給ギャップを重視し、需給ギャップがプラス圏推移を続けていることで、物価モメンタムが維持されているとしてきた。しかし、日を追うごとに中東情勢は緊迫の度を強めており、情勢次第では政府の経済対策への期待がはげ落ちるリスクもある。

(和田崇彦/編集:石田仁志)

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