ワタミ創業者・会長兼CEO,渡邉美樹Photo by Masato Kato

店のコンセプトから料理の1皿に至るまで、外食産業の経営者は消費者の心をつかむスペシャリストだ。個性派ぞろいの「外食王」たちは何を考えているのか。連載「外食王の野望」で取り上げる外食トップのインタビューを通じ、そのノウハウをおいしくいただこう。今回のインタビュー対象者は、参議院議員を引退して会長に復帰したワタミ創業者の渡邉美樹氏。退任後に収益が悪化した同社は、生産性の改善や働き方改革など課題が山積している。戦略を聞いた。

「週刊ダイヤモンド」2020年1月11日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

私はラグビーチームの監督
新業態で戦う敵はセブンだ

――参議院議員選挙に出馬するため2013年に会社の役職を退きましたが、議員を引退し、19年10月に会長に復帰しました。その前後でワタミは変わりましたか?

 退任する前までは、いい意味でも悪い意味でもワンマンで、体育会系の組織でした。ですが退任後の6年間で、ボトムアップ型の、社員が自ら考えて行動する組織になりました。

 再びトップダウン型にするつもりは全くありません。社員に話すのは、ラグビー日本代表チームに例えるならば、私はジェイミー・ジョセフ監督で、清水邦晃社長はキャプテンのリーチマイケル選手だということ。そして、「今の君たちはナンセンスだ。いいものを持っているのに、戦い方が下手だ」と言っていて、「私はスタンドの上から指示は出す。君たちは今まで通りチームで戦ってくれ」と伝えています。