アップルの呪縛 日の丸液晶JDI_PART4_JDI不正会計問題は「鼠一匹」Photo by Reiji Murai

ジャパンディスプレイ(JDI)の過年度決算において100億円に上る液晶在庫の過大計上の疑いが生じ、調査の舞台は第三者委員会に移った。果たして、JDIの再建を揺るがす大問題に発展する恐れはあるのか。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

死を前に不正を暴露か
経理担当の元従業員

「過去の決算で100億円の過大な在庫計上」――。2019年12月24日、経営再建中のJDIが過去の不正会計疑惑を公表したことで、ようやく動きだしたJDIの再建に暗雲が漂っている。

 独立系投資ファンド、いちごアセットマネジメントがスポンサーに名乗りを上げて、再建が前進するかに見えた矢先のことだ。

 きっかけは、同社の元従業員が「過去の決算で、経営陣の指示により不正な会計処理を行っていた」と同社の法務部門に通知したことだった。この元従業員は会社の資金を着服し、18年12月付で懲戒解雇された元経理担当幹部だ。
 
 着服は、4年間で5億7800万円もの規模に達してJDIに衝撃を与え、同社は19年8月になって元従業員を刑事告訴した。

 だが、その時点でこの事実を公表していなかったため、同年11月に朝日新聞が元従業員の着服の事実を報道。これにより、巨額の不正が明るみに出ることになったが、その数日後、この元従業員は自殺を図って死亡した。