“脱走社長”2人の独白

 私は毎日、「分単位」、いや「秒単位」で仕事をしています。移動時間もムダにはしません。

「かばん持ち」をする社長の中には、忙しさに耐えきれず、あろうことか、「途中で脱走した社長」が2人もいます。株式会社テイル(飲食業/京都府)の金原章悦社長と、株式会社ザメディアジョン(採用・人材育成・就活サポート、出版事業/広島県)の山近義幸社長です。

「『かばん持ち』のときは、小山さんのご自宅の近くにあるホテルに泊まりました。毎朝、4時半起きで、夜は懇親会や『クラブハイツ』(店名)等でした。フルバンドで『ジルバ』を踊っていた小山さんはカッコよかったです。

 実践経営塾(武蔵野の経営サポートプログラム)の社長を40、50人引き連れて、観光バスで歌舞伎町に乗りつける人を私は今まで見たことがない(笑)。

 ホテルに戻ってくるのは夜11時すぎ。それから報告書を書いて、1時すぎにやっと就寝。そんな毎日が続くと、心も体もくたくたです。体力は奪われ、脳みそも破壊されそうになりました(笑)」(金原社長)

 金原社長が「かばん持ち」を始めて、4日目(当時は5日間プログラム)のことです。

 彼の疲労はピークに達し、私の目を盗んで、「マッサージ」を受けに行ったのです。

「その日は、小山さんの個人面談が目白押しだったんです。私は、チャンスだと思った。『あぁ、もうガマンできない。寝不足だし肩も凝っているから、小山さんが面談している最中にこっそりマッサージを受けてこよう』

 ところが、です。

 私が気持ちよくマッサージを受けていると、携帯が鳴った。小山さんからでした!

 おかしい。まだ面談をやっているはず……!!

 恐る恐る電話に出ると、開口一番、

 『おまえは、何をしているのだ!』と怒鳴られまして……。予定よりも早く面談が終わっていたんです」(金原社長)

 その出来心が、命取り。急いで飛んできた金原社長に、私は手を出して、こう言いました。

「はい、罰金!」

「そのときの写真まで撮られ、『前代未聞のことをしたバカ社長』として、私は一躍有名になりました(笑)。小山さんはバンバン仕事をして、バンバン遊ぶし、『社長の1日はこうあるべきだ』という姿をそばで教わることができた気がします。

 自分よりも数段レベルの高い社長の仕事を目の当たりにすると、素直に『自分ももっと勉強しよう。自分を見直そう』と思いますから」(金原社長)