このほかの製造業もサプライチェーンへの影響が広がりそうだ。ホンダ系自動車部品メーカーのエフテックは、武漢市で生産しているブレーキペダルを、フィリピンの工場で代替生産することを決めた。こうした対応が迅速にできればいいが、代替が難しいものもあるとみられ、混乱が生じる可能性がある。

五輪前の景気拡大ムードに不安

 懸念されるのは、設備投資の底入れから回復というシナリオの遅れだ。

「製造業の設備投資の回復は、年後半にずれ込む可能性が高まっている」。BNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏はそうした見方をリポートで示している。

 同証券はリポートで中国の第1四半期の成長率が5%を下回ると予想、日本のGDPも、例えば訪日中国人の減少で0.1%ポイント程度押し下げとなるほか、サプライチェーンを通じて生産にも影響が出てくると指摘する。

 本来であれば、日本経済は13.2兆円にのぼる大型経済対策のうち今年度補正予算分が早々にも具体化され、五輪に向けたマインド効果やインバウンド需要なども期待されていた。12月ロイター企業調査では、今年前半は景気拡大を見込む企業が4割近くにのぼり、年後半になって景気縮小との見通しが大半となっていた。

 しかし新型肺炎の影響が長期化すれば、五輪前でも景気拡大はおぼつかなくなる。ニッセイ基礎研究所の斎藤氏は「中国向けの輸出が再び大きく落ち込むことにより、1─3月期も減産となる可能性が否定できない」とみており、五輪前の景気拡大ムードにも不安が漂う。

(中川泉/グラフ作成:田中志保 編集:石田仁志)

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