大分で生まれ、小・中・高と地元の公立校、塾通いも海外留学経験もないまま、ハーバード大学に現役合格した『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』の著者・廣津留すみれさん。

ハーバードを首席で卒業後、幼い頃から続けているバイオリンを武器にニューヨークのジュリアード音楽院に進学、こちらも首席で卒業した。

現在はニューヨークを拠点に、バイオリニストとして活動しながら、起業家としても活躍している。

日本から突如、世界のトップ校に飛び込み、途方に暮れるような大量の難題を前に、どう考え、どう取り組み、どう解決していったのか?

著者が学び、実践してきたハーバード流の考える力について、自身の経験を下敷きに、どうすれば個人・組織が実践できるかを、事例やエピソードとともにわかりやすく紹介する。

何も考えない<br />10分の休憩で<br />思考のマンネリ化を<br />防ごうPhoto: Adobe Stock

何も考えない
10分の休憩で
思考のマンネリ化を
防ごう

 集中してものを考え続けていると、煮詰まってしまって、よいアイデアが出なくなることがあります。

 AIなら何時間稼働してもパフォーマンスは変わりませんが、人間の脳は疲れると思考力もダウンしてしまいます。これが脳とAIの第3の違いです。

 煮詰まったときはあえて何も考えない時間を設けて、頭のスイッチを切り替えると、新しいアイデアが浮かんでくることが多いです。

 私の場合、煮詰まりそうになったらスマホでアラームを10分後にセットして、その間、インスタグラムやYouTubeなどで可愛いポメラニアンや子猫の動画を観たりしてなごみます。

 ただし、動物の動画が大好きな私は、放っておくと半永久的に観ていられるので、タイマーで時間を区切ります。

 10分たって、リフレッシュしたら再びスタートします。

 リフレッシュするとマンネリ化していた思考の流れが断ち切られるのか、新たな視点で課題が見つかったり解決法が見えてきたりすることも多いです。

 ハーバード時代は、授業で出された課題の締め切りが迫ってくると、深夜3時か早朝5時くらいまで勉強する日も少なくありませんでした。

 そういう場合は、寮の部屋にこもって1人きりで勉強すると煮詰まりやすいので、友達と誘いあって図書館や食堂で勉強することが多かったです。

 ハーバードの寮の食堂は24時間開いており、温かいコーヒーやベーグルなどが無料で提供されている点もありがたかったです。

 友達との勉強は励まし合えるし、適度にブレイクもできるという意味で効率的です。

 勉強していて煮詰まってきたら、友達の机にふらっと立ち寄って「調子はどう? 課題はどこまで進んでる?」と話しかけたりして、気分転換をすることもありました。

 少し寝てリフレッシュしたいときは、「これから10分だけ寝るから起こしてくれない?」と頼むこともありました。

 深夜の図書館でスマホのタイマー音が鳴り響くのは迷惑ですから、友達に起こしてくれるように頼むのです。

 一方、「いま波に乗っているな」と感じたときは、あえて休憩を入れないで突っ走ったほうがパフォーマンスは高まります。

 バイオリンでも、コンサート本番が迫ってきて「そろそろ完璧に仕上げないと!」と思うと、エンジンがフル稼働するようになって、2時間でも3時間でもノンストップで練習が続けられるのです。

 休憩を入れるべきか、それとも集中して続けるべきかは、臨機応変に判断することで、思考のパフォーマンスを下げないようにしています。

 上手に休憩をとって頭をリフレッシュしパフォーマンスを高めていますか?