“正論症候群”が増加中、自分の正しさを吠えまくる原因は?Photo:PIXTA

 実生活の中でも、ネット上でも、「自分の正しさ」を振りかざして突進してくる人たちがいる。いま世の中に蔓延しているのは、名付けるならば「私は正論症候群」だ。その原因とトラブル回避策について、ライフジャーナリスト・赤根千鶴子氏が専門家に意見を求めた。

 高野さん(仮名・62歳)は東京郊外の中古一戸建てに引っ越しして間もないころ、ある紳士の訪問を受けた。

「このゴミ袋、お宅が出されたものですよね?」

 門の外から見知らぬ紳士が、高野さんが数分前にゴミ捨て場に出したばかりのゴミ袋を掲げる。

「はい、うちですが」

「紙ゴミがまざっているのが見えたから、お宅にお戻しします。今日は『燃やすゴミ』の日ですよ!『紙ゴミ』の日ではありません。ハガキはミックスペーパーです。ちゃんと『紙ゴミ』収集の日に『紙ゴミ』として出しましょう!」

 一瞬唖然としたが、高野さんは素直に謝った。何せこちらは新参者だ。あなた、ゴミ袋からちょっとのぞいて見えたうちの名字の入ったハガキを引っ張り出したのですか、とも聞けない。

 妻が近所で聞いてきたことにはその紳士は70代前半で“決まり事”にはとにかくうるさい。ゴミ出しのほか、植木の敷地外へのハミダシや生活音にも敏感らしい。高野さんは妻に言った。