こうした障害を取り除くため、昨年10月にFRBは規制緩和パッケージを発表し、11月には金融機関の自己勘定取引の制限に関わるルールを簡略化したばかりだが、今回はカバードファンズ(ヘッジファンドやPE)に投資したり、スポンサーとなる金融機関に対する規制も緩和する意向で、ボルカ―ルールの精神に逆行する流れとなっている。

大盤振る舞いへの批判

 ボルカ―ルールはドッド・フランク法の一部で、同法制定の大きな要因となったのはリーマンショックである。

 リーマンショックは銀行業界全体に大きなレバレッジがかかった状況を背景に起きた。ボルカ―ルールは金融セクターのレバレッジを規制し、急速なデレバレッジによる流動性のひっ迫を抑制する意図で導入された。また、ヘッジファンドやPE等への出資制限により、それらの業界へ流入する資金を減少させ、米当局が把握できない投資を抑制することも重要な目的の一つだった。

 今回の短期金利急騰は、ヘッジファンドやその他のウォール街の非金融機関が資金調達先として活用するレポ取引で起きたが、その後のFRBによる大量流動性供給や規制緩和の「大盤振る舞い」には厳しい指摘もでている。

 1月29日に行われたFOMC後の記者会見で「Fedが躍起になってヘッジファンドやウォール街を救済しようとしているとの批判にどうこたえるのか」との質問に、パウエルFRB議長は、レポ金利のボラティリティがFF金利に影響を及ぼすからだとだけ答えている。

 エリザベス・ウォーレン上院議員は昨年10月、ムニューシン米財務長官に書簡を送り、短期金利が一時的に急騰したからと言って、流動性規制などを緩和すべきではないと主張した。

「金融機関は過去最高の収益をあげている。銀行セクターの片隅で起きたカオスを言い訳として、経済を金融危機から守るために導入された規制を一段と緩和するならば、それは痛いほど皮肉なことだ」とウォーレン氏は言う。

金融緩和とFed不信

 リーマンショック後に導入された金融規制が「ムチ」だとすれば、金融機関には「アメ」として金融緩和が与えられた。しかし、このアメは、民間企業の債務残高を膨らませたほか、米当局が把握できない非金融部門の投資やレバレッジをむしろ拡大してしまった。