当局者らは当初、くだんの会議に出席した中国からの訪問団の中にペーシェント・ゼロがいると示唆していた。この中にはウイルスの感染源となった武漢市からの参加者も含まれていた。もっともサーボメックスの広報担当者はロイターに、中国からの訪問団は検査で陰性の反応だったと述べた。

 フィッシャー氏ら専門家は今回の状況について、2003年に香港のホテルで1人の医師が「スーパー・スプレッダー」となって重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染を爆発的に広げたケースと比べている。

 WHOもこのシンガポールの会議での新型コロナウイルス感染を巡る調査を開始したが、スーパー・スプレッダーがいたかどうか断定するのは「時期尚早」だとくぎを刺している。

恐怖が身近に迫る

 サーボメックスの首脳陣チームや海外営業部門の従業員などの社内メールに基づくと、会議から1週間余りたってから、マレーシアで最初の感染症例が出現した。ウイルスの潜伏期間は最長14日で、キャリア(感染者)が発症前に別の人々に感染させることもあり得る。

 同社は、ウイルスを抑え込み、従業員と地域社会を守るための「幅広い措置」を直ちに講じたと表明し、109人の会議出席者全員を個別に隔離した。このうち94人はシンガポール国外から会議に参加し、既に同国を離れていた。

 ウイルスは広がり続けた。

 マレーシア人感染者とビュッフェで食事を共にしていた韓国人2人が発症。また、このマレーシア人からは姉妹と義理の母にも感染した。シンガポール人の会議出席者3人からも陽性反応が出た。

 その後は欧州に飛び火。ウイルスに感染した英国人出席者がフランスのスキー場に向かって、そこで5人が発症した。スペインでも因果関係がありそうな感染例が確認され、この英国人がイングランド南部の地元に戻ると、ウイルスの拡散がさらに進んだ。