加えて、先月末から際立ってきたのがユーロの下落圧力。対ドルで1.07ドル台とほぼ3年ぶりの安値を更新中だ。

 手がかりとされるのは、最近の経済指標の下振れと、ドイツ政治の不透明感。メルケル首相の後継候補として最有力視されていた与党・キリスト教民主同盟(CDU)のクランプカレンバウアー党首が今月10日、突如退任を表明した。

ユーロキャリーに関心、円より調達に妙味

 しかしそれらは表面的な口実で、実態は海外勢がマイナス金利の長期化しているユーロを調達源とし、金利のより高い通貨で金利差収入を狙うキャリートレードを加速させていることにある、と見る向きもある。

 新型肺炎は収束が見通せず、世界経済の懸念材料ではあるものの、中国をはじめとする世界経済の減速は一時的との見方が現時点では優勢。米株の最高値更新が示すようにリスク資産投資への姿勢は崩れておらず、運用難の巨額資金は少しでも収入が得られる投資先を求めてうごめいている。

 一定期間ポジションを保有して金利差収入を狙うキャリートレードは、市場の変動が大きくなりづらい場面で、特に効果を発揮する戦略。「リスク回避心理が強まりやすいことを考慮すると、リスクに敏感な円は調達通貨になりにくいが、ユーロは相関がさほどない」(外銀)ため、最近は調達源が円からユーロへ移行しているという。

(基太村真司/編集:佐々木美和)

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