毎日検査や観察を受け、検疫の過程で予防措置を受けている米国人は、ウイルスを人に感染させる可能性は極めて低いと当局者は話す。それにもかかわらず、こうした人々は隣人から除け者にされ、インターネット上で仲間外れにされ、友人からも遠ざけられている。

武漢の空港で7日、米政府が派遣した輸送機に乗るため列を作る米国人ら
武漢の空港で7日、米政府が派遣した輸送機に乗るため列を作る米国人ら。提供写真(2020年 ロイター/Edward Wang)

 世界保健機関(WHO)と米疾病対策センター(CDC)は、新型ウイルスの潜伏期間は最大14日間だとしている。だが中国国家衛生健康委員会は今月、潜伏期間は最長24日であることを示唆する研究報告を出した。

 CDCによると、感染が拡大している地域から民間機で米国に帰国した健康な乗客のうち、14日以内に一定の症状が出た人については保健当局者による観察の対象となり、うち一部の人は移動や人との接触を制限するよう要請を受けるという。

噂と憶測でパニック

 エイミー・デンさん(45)のような米国の旅行者は、帰国した際に当局から何の行動制限要請も受けなかったという。8歳の娘と帰国したデンさんは、それでも地域コミュニティーに対する責任感から自主的に自宅で「検疫期間」に入った。

 デンさんと娘は、武漢の800キロ以上南にある広州に家族を訪ねて米国に帰国した後、2週間周囲の人との濃厚接触を避けたという。

 だがそれでも、2人がウイルスを拡散するのではないかと心配した隣人が警察に電話をした。

「皆すでにパニックで、噂話をでっち上げて広め、この地域に住んでほしくないとすら言ってきた」と、カリフォルニア州サンタロサで鍼灸師をしているデンさんは言う。

「完全にむきだしの差別意識を向けられている」と、最近「検疫」が終わったデンさんは言う。

 横浜港で検疫を受けたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客を除けば、米国ではこれまで15件しか感染例が出ていない。うち帰国後に人から人へ感染したのは2件のみで、死者はゼロだ。