今週25日のS&P総合500種は、19日の過去最高値から7.6%下落。わずか4営業日で時価総額ベースでは2兆1000億ドル余りが吹っ飛んだ。

 ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は、株式相場低迷が長期化すれば、米企業向けサプライチェーンの寸断といった中国での操業停止から被る他の影響よりも、米経済に大きな打撃が及ぶ可能性があると分析。株価のほうが消費者に直接影響する恐れがあるためという。「米国の消費者は実際のところ、景気拡大と景気後退の間の緩衝材の役割を担っている」と話した。

 ザンディ氏によると、米消費支出で大きな比重を占めるベビーブーマー世代は退職について気にしている世代のため、市場が不安定になるとしばしば、不要不急の支出をすぐ減らす。

 クイル・インテリジェンスの創業者ダニエル・ディマーティノ・ブース氏によると、株式をかなり大口保有し、消費者支出額でもかなりの比率を占める富裕層も相場不安定で支出を減らしかねない。これが高額品の売り上げを減らす可能性があるという。同氏は以前、リチャード・フィッシャー前ダラス連銀総裁の顧問だった。

 調査会社モーニング・コンサルトの消費者景況感指数は先週、新型ウイルスの懸念が広がり株価を押し下げ始めた時期に、小幅な低下だった。消費者の見通しは依然、米中通商紛争の不安が高まっていた昨年秋よりは楽観的だ。ただ、景況感指数が低下したことは、新型ウイルスによって世界の経済成長が減速して最終的には米国経済にも打撃を及ぼしかねない、と消費者が心配していることを示す。

 オックスフォード・エコノミクスのデイコ氏は、新型ウイルスの感染例がニューヨークや首都ワシントン、サンフランシスコといった主要都市で出てくる事態になったりすれば、消費支出と米経済への打撃はもっと劇的なものになると予想。そうなれば大型イベントも中止され、人々は家にこもるようになり、航空旅客も減ってしまいかねないという。

 グラント・ソーントンのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は、新型ウイルスの感染拡大を抑え込む取り組み自体が経済の阻害要因になり得ると指摘。経済成長への影響の可能性に対処しようする各国政府は、国内の動きだけでなく世界的な動向も注視する必要があるとした。

「これは特異な衝撃だ。自然災害と違って、その後の復興需要はない。恒久的に失われてしまうものもあり、打開のため財政政策や金融政策を動員するのも難しい」という。

(Jonnelle Marte記者)

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