白鳳翔・浜銀総合研究所主任研究員は「(中国の)出稼ぎ労働者は職場に戻ろうと思っても、都市部や道路が閉鎖されていたりして、うまく職場復帰できない。大都市に戻ったとしても一部は2週間程度の隔離期間が必要であり、企業の生産再開は出遅れている」と指摘する。

 自動車業界でも、生産調整の動きが出ている。日産自動車<7201.T>は、中国からの部品供給が滞ったため、栃木工場の生産を3月3日に一時的に停止する。日産九州の工場も2月28日の操業を止めた 。

感染拡大、新たな不安

 ここへきて、ウイルス感染が世界各国へ拡大、不透明感はさらに高まっている。

 中国工場で組み立てた完成品を輸入しているリズム時計工業<7769.T>では「春節明けの5割の稼働状況から、今週に入りようやく7─8割程度に回復してきた」(経営企画部)としつつも、「今後感染が幅広く拡大すると影響が出てくる。まだどうなるか見極めがつかない」と懸念を示す。

 中国大連工場で金属加工を手掛ける多摩冶金でも、主な納入先である日系自動車メーカーが今週から再開したが、山田毅社長は「中国の経済が全体的に縮小した場合は、自動車の販売台数が減る可能性がある。影響を受ける可能性はないとは言い切れない」と不安を示す。

 コロナウイルス拡大により、為替市場では円高が進んでいる。108円から109円は多くの企業が1─3月の想定レートとしており、円高がさらに進めば影響が出てくる。

 影響は中小企業にも広がっている。

 東京商工会議所には、新型コロナウイルス関連の相談窓口を設置した1月末から2月20日までで、累計316件の相談が寄せられた。宿泊業の客数減に加え、製造業を中心に中国の操業停止による部品供給の停止、商品の未納、中国工場の従業員確保といった問題が多数、寄せられている。

 愛知県の旅館業など一部企業の経営破綻も伝えられるなか、経済産業省は28日、資金繰り支援強化に踏み切った。