昨年の「トラウマ」も

 市場で日銀の追加緩和期待が高まらないのは、昨年痛い目にあった「トラウマ」をひきずっていることもある。

 19年夏にかけ、日銀は追加緩和に踏み切るとのニュアンスで情報発信を繰り返し行った。少なくとも、市場はそう信じた。しかし、同年10月の金融政策決定会合で追加緩和を見送り、「まさに肩透かしを食わされた」(国内証券)恰好となった。

 また、ドル/円は昨年8月に一時104円台までドル安/円高が進んだが、足元は108円台。円高が当時ほど進行していないことも、日銀の追加緩和期待が高まらない背景だ。

 需給的には金利低下材料は多い。3月は10兆円を上回る国債大量償還や年度末の年限長期化需要も重なる。このため、3月末にかけては超長期債主導で金利はじりじりと低下し、イールドカーブはフラットニングしていくとみられている。

 アセットマネジメントONEのグローバル債券担当、ファンドマネージャーの鳩野健太郎氏は「3カ月ごとに国債償還を迎え、そのたびに1%台後半や2%台の高クーポンがなくなる。再投資をせざる得ない投資家がプラス利回りを選好しやすい」と指摘する。

 ただ、市場では日銀の追加緩和観測が高まらない限り、19年9月の様な中長期ゾーンの金利低下は難しいとの見方が強い。

(坂口茉莉子/グラフ作成:伊賀大記 編集:田中志保)

Copyright©2020 Thomson Reuters 無断転載を禁じます