『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』の著者で、東大卒プロゲーマーのときど氏と、教育改革実践家で『100万人に1人の存在になる方法――不透明な未来を生き延びるための人生戦略』の著者である藤原和博氏。年齢の差はありながらも「東大卒」そして「東大らしくないキャリアを選んだ」ことが、二人の共通点だ。自身の経験をもとに、受験を勝ち抜くために必要なスキルや、東大生について思うことをそれぞれ語ってもらった(構成:小沢あや)。

子どもが「プロゲーマーになりたい」と言い出したらどうする?

海外では親が分野を限定せず、いろんなことをやらせる

――最新の「子どもがなりたい職業ランキング」(中学生男子)の2位にプロゲーマーがランクインしているんです。※ソニー生命 「中高生が思い描く将来についての意識調査2019」より

ときど そうなんですか? それはすごいなあ。

藤原 1位はYouTuberか。どちらも、十年前にはなかった職業ですよね。もしも、ときどさんに子どもがいたとして、「プロゲーマーになりたい」と言い出したらどうする(笑)?

子どもが「プロゲーマーになりたい」と言い出したらどうする?藤原和博(ふじはら・かずひろ)
教育改革実践家。
1955年東京生まれ。1978年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。メディアファクトリーの創業も手がける。1993年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校の校長を務める。2008年から2011年、橋下徹大阪府知事ならびに大阪府教育委員会の教育政策特別顧問。2014年から佐賀県武雄市特別顧問。2016年から2018年まで奈良市立一条高等学校の校長を務めた。講演会が1500回を超える人気講師でもある。最新刊は『100万人に1人の存在になる方法――不透明な未来を生き延びるための人生戦略』

ときど もし子どもが本当にプロゲーマーになりたいんだったら、応援はしたいですね。やってきたことは全部教えたいですけど、自分で判断、決断ができる大人になってほしいのでバランスが難しそうです。正直、過保護になってしまいそうなのが怖いです。

藤原 ゲームでもなんでも、親は子どもが興味を持ったことは全部やらせたらいいと思う。スポーツの世界もそう。

海外のクラブは、子どもにいろんな競技をやらせるんですよ。育成のためにね。色々やらせて、何が合っているか合っていないかを5年くらいで見極める。でも、日本は「サッカー道」「野球道」みたいに最初から分かれてしまうのがもったいないなと思います。

ときど 僕もゲームと勉強だけやっていたわけじゃなくて、小さい頃はいろんな習い事をしていました。書道も習っていたし、野球も少年野球クラブに入ってたし、部活はバスケ。運動は得意だったけれど、書道は本当に苦手。小さいうちに「ジッとしていることができない」ということがわかったのは収穫でした。

藤原 経験って巡り巡って繋がっていくものだし、何がいつ、どう役立つかはわからないんだよね。有名人が公文とかモンテッソーリ通ってたようだから、自分の子もと鵜呑みにしてやらせる保護者もいるけど、あれもたまたま有名人がその方式でやってただけ。

同じように、ときどさんと同じカリキュラムを完全コピーしたらプロゲーマーになれるわけじゃない。子育てに正解はないんだから、親があんまり焦らなくていいと思います。