コンゴ民主共和国でのエボラ出血熱の流行は終焉に向かいつつあるが、新型コロナウイルスによる肺炎やデング熱などの新たな感染症流行にも警戒が必要 コンゴ民主共和国でのエボラ出血熱の流行は終焉に向かいつつあるが、新型コロナウイルスによる肺炎やデング熱などの新たな感染症流行にも警戒が必要 Photo:SOPA Images/gettyimages

致死率が高い伝染病として恐れられているエボラ出血熱が猛威をふるうアフリカの地、コンゴ民主共和国からエボラをはじめ感染症対策の現状や最新事情について、国立国際医療研究センター国際医療協力局から現地に「JICAコンゴ民主共和国保健省次官付顧問」として派遣されている日本人医師、仲佐保がレポートする。2018年3月に派遣されてから2020年3月までの2年の任期が終わろうとしている。2018年の赤道州のエボラの流行から始まり、2018年8月からのコンゴ民主共和国最悪の北キブ州のエボラの流行は、2020年2月になって流行終焉の兆しが見えてきた。エボラに始まり、エボラで終わるという今回の派遣だったともいえる。今回の第7回で、現地駐在としては最後のレポートである。(コンゴ民主共和国保健次官付顧問・JICA・国立国際医療研究センター医師 仲佐 保)

エボラ流行の終焉に向けて
2019年10月には激減

 2019年の8月までは拡大を続けていたエボラの流行であったが、減少が始まり、10月には激減してきた。

 第一には、一番大きな課題である早期発見、早期診断が移動検査室を増やすことにより改善してきたこと。

 第二には、国際保健機関(WHO)が臨床試験として行ってきたエボラワクチンが有効で、この地域や流行の拡大が心配された北キブ州の州都・ゴマ市でのワクチン接種が進められ、ゴマ市での流行が起こらず、拡大の根が絶てたこと。