新興国投資 2012年3月23日

経済開放後のミャンマーは、本当に有望なのか?(前編)フロンティア市場・ミャンマーへの投資を考える

 しかし、その経済制裁が解かれる日が近づいている。2011年11月末に政権を握ったテイン・セイン大統領とクリントン米国務長官が会談し、政治犯の釈放や少数民族との関係改善が実現した。

安い労働力は魅力だが、インフラ整備が……

 これを受け、欧米諸国は経済制裁解除に向けた具体的な検討に入りつつある。ミャンマーからすれば近年、周辺国が急速に経済発展するのを指を咥えて見ているしかなかったわけで、念願の制裁解除である。

ミャンマーを代表する寺院、シュエダゴン・パゴダ(Photo:©WorldStock.JP)

 欧米側からしても、この地域における中国の一方的な影響力の増大に歯止めを掛けられる。双方の思惑は完全に一致している格好だ。

 経済制裁が解かれれば、安い労働力を求めて海外資本の工場がどんどん建設されるだろう。

 実際、ミャンマー人の平均賃金は東南アジアの中でも格段に安く、例えば工場労働者(スリッパを作っている工場)の月給は残業代込みで月80米ドル程度だ。これはタイ人の平均賃金の1/8に過ぎず、カンボジア人のそれより月20米ドル安い。

 だが、私が「工場誘致予定地」として連れて行かれた土地は、どれも辛うじて整地されただけの野っ原だった。ここに工場を建てるとすれば、道路や敷地を舗装し、水道を引くところから始めなければならない。

 おまけにミャンマーは電力事情が悪いので、停電も頻繁に起こる。まともに操業しようと思ったら、自家発電設備は必須だ。これだけの費用がかかるなら「人件費が1人当たり月20㌦程度高くても、カンボジアの方がいい」となるのではないか。(後編「本当にミャンマーは投資先として有望なのか?」に続く)

(構成/渡辺一朗)

<取材・執筆>
木村昭二(きむら・しょうじ)
慶應義塾大学卒業。複数の金融機関、シンクタンク等を経て現在はPT(終身旅行者)研究家、フロンティアマーケット(新興国市場)研究家として調査・研究業務に従事。日本におけるPT研究の第一人者。
 

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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