新型肺炎Photo:Toru Hanai/gettyimages

新型コロナウイルスの感染拡大による景気の落ち込みが懸念されることを受けて、日本銀行は3年半ぶりの追加の金融緩和を決め、さらに政府が景気対策に本格的に取り組むようだ。「消費税減税」を求める声もあるが、それよりも「雇用維持」と「所得補償」を最優先にすべきだろう。(塚崎公義)

「コロナ不況」は谷が深いが、短期的なもの?

 新型コロナウイルスの流行がどの程度拡大するのか現時点では不明だが、本稿では半年程度で収束するという前提で考えたい。そうなると、現在のような極端な自粛は長続きしないことになる。つまり、景気の谷は深いが、短期で終わる。

 そうなると、景気対策もそれに見合ったものが必要になる。一時的な不況を耐えしのげば景気は自然と回復するので、その期間に倒産や失業が発生しないように、即効性のある短期集中型の対策を打てば良い。

 すなわち、人々の雇用と所得さえ確保されていれば、終息宣言が出るとともに、人々は我慢していた消費を再開するだろう。何といっても、過去数カ月、消費をしなかった分だけ、懐は暖かいわけだから。

 しかし、雇用と所得が失われてしまえば、終息宣言が出ても消費は回復せず、景気は低迷し続けるかもしれない。その違いは、長く尾を引くことになるだろう。

まずは倒産と失業を防ぎ、人々の所得を保つべき

 まずは、倒産を防ぐために、中小企業の資金繰りを支援すべきだ。政府が既に動いているので、方向としては望ましいが、より一層の充実とともに、各種支援策の周知徹底を行って、支援が必要な人に支援の情報が届くような施策も必要になる。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する前から倒産寸前だったような企業を救済することに対しては、「政府の保護の対象ではないはず」「ゾンビ企業の延命につながりかねない」といった批判があり得るが、緊急事態のため幅広に救済すべきだろう。