新興国投資 2012年4月17日

熱いぜカンボジア! 4月18日に株式市場がスタートミャンマー、ベトナムよりカンボジアが有望な理由

インフラ整備や工場建設は、まさにこれから

 ある穀物会社を訪れた時には、こんな話を聞きました。カンボジアはコメの二期作が可能で、台湾の農業指導を受け、無農薬栽培や機械化など先進的で質の高いコメ作りができるようになったそうです。実際、現地でいただいたごはんは長粒種ながら非常に美味で「日本に輸出しても売れるんじゃないか」と思わせるほどでした。

 しかし、カンボジアでは満足な精米工場がないために、現在はモミ殻を付けた状態でタイに輸出しているそうです。コングロマリット企業の人は「精米までできれば付加価値を高められるので、ぜひ投資を受けて設備を整えたい」と言っていました。

 これはカンボジアの現状を象徴した話です。例えば工業では、東南アジア随一の低賃金で雇える労働者がいて、工業地帯には既に水道や電気が届いています。また河川や湖沼から汲み上げる水は、工業用水としてほとんど無償で利用できます。つまり、世界の企業が工場を建設するにはうってつけの素地があり、あと一歩、港湾や道路・鉄道網が整備されれば、高度経済成長のスイッチが入ろうかという段階まできているのです。

 だからこそ、カンボジア政府も万全の態勢を整え、外国からの投資を呼び込もうとしているのでしょう。後進国にありがちな役所による煩雑な手続きやたらい回しをしないため、プノンペンの経済特区には外国人に迅速に許認可を与える専用窓口を設けました。

 投資家は法人利益税の8年間免除を始め、様々な税制上の優遇を受けられます。さらに、永住ビザを家族にまで付与したり、利益の本国への送金も自由にするなどして、東南アジアで最も自由な投資制度を整えましたカンボジア政府の本気度が伺えます。

プノンペン水道公社のPERに見える期待の高さ

 そうした中にあって、カンボジア証券取引所の最初の銘柄として、プノンペン水道公社が上場することになったのです。その名の通り、首都プノンペンの136万人の人たちに安全な水を供給する、超安定事業です

カンボジア証券取引所の上場第1号となる「プノンペン水道公社」の施設(Photo:©WorldStock.JP)

 同公社は1993年には地域の20%しかカバーできておらず、給水は日量6万5000立方メートル、蛇口をひねって水が出るのは10時間程度でした。しかも、給水量の72%は誰が使ったのかわからない“使途不明水”だったようです。

 しかし、資料によると2010年には人口カバー率90%、日量33万立方メートル、24時間給水を実現するまでになっています。使途不明水は5.85%と激減し、プノンペン水道公社は今では無借金黒字経営の超優良企業になっています。

 カンボジア政府としては自信を持って“上場第1号企業”のお墨付きを与えたことがわかります。しかし、専門家の間では逆に「成長余地が小さく、魅力に乏しい」という見方もありました。

 にもかかわらず、ブックビルディングに掛けてみれば先述の通りの人気ぶりです。公募価格は上限の1株6300リエル(約128円)に決定。PERにして18.2倍でした。

 ちなみに、東南アジアの同業他社、例えばフィリピンの「マニラ水道会社」がPER10.4倍、タイの「タイTap水道」がPER 9.8倍、マレーシアの「プンカック・ニアガ・ホールディングス」がPER 5.0倍です

 PERは一般に投資家の期待値を反映します。PER18.2倍という数字は、プノンペン水道公社のというよりは、カンボジア経済全体への期待の高さを表したものと言えそうです。
 


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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