小学生全校休校の中、複雑な事情を抱え家庭に居場所を見つけづらい子どもたちは、どうしているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

コロナ禍で「第三の居場所」が
緊急に必要な子どもたち

 滋賀県大津市の「特定非営利活動法人こどもソーシャルワークセンター」は、2016年以来、一軒家を拠点として多様な活動を行っている。もちろん、3月4日に始まった学校休校にも対応することとなった。

 同センターの日中の活動の中心は、「『ほっ』とるーむ」という居場所活動だ。学校は、すべての子どもに安全な学びや楽しい交友を提供するはずの場だが、さまざまな理由で、それが現実にならない子どもたちもいる。

 イジメをはじめとする人間関係の問題もあれば、集団活動のストレスもある。学習の困難から学校が居づらい場になることもある。家庭も居づらい場所である場合、学校に行けない子どもには居場所がなくなる。15歳以上で、たとえば高校を中退すると、学校という居場所もなくなる。そこで必要になるのは、家でも学校でもない「第三の居場所」だ。

「『ほっ』とるーむ」では、子どもたちや若者たちに1人1部屋を提供し、信頼できる大人とともに過ごせるようにしている。このスタイルを採用している理由について、社会福祉士で理事長の幸重忠孝さんは、次のように語る。

「まず、子どもたちそれぞれが、それぞれの部屋で過ごせるようにしたいからです。さらに、地域のボランティアの大人の方々が、子どもたちと共に過ごすわけです。大人は子どもよりも多め、基本的に1対1以上にしています」(幸重さん)

 子どもの成長には、数多くの経験が必要だ。しかし、対象となる子どもたちや若者たちに、そういう経験の機会が十分に与えられているとは限らない。また、愛情不足の中で育った子どもたちや若者たちには、大人の愛情を独占したい気持ちもある。より多くのニーズを持つ子どもたちには、「大人の数を増やす」というシンプルな対応を行っている。幸重さんは、「たいていのことは、それで何とかなります」という。

 部屋は4つあるが、通常、同時に受け入れる子どもは3名にとどめ、最大で5名としている。利用は、原則として週1回だ。最大で、1週間あたり20人の子どもや若者に対応できることになるが、状況によっては、例外的に週2回受け入れることもある。