中国での臨床試験の結果、治療効果が期待されている抗インフルエンザ薬のファビピラビル(商品名:アビガン/富士フイルム富山化学) 中国での臨床試験の結果、治療効果が期待されている抗インフルエンザ薬のファビピラビル(商品名:アビガン/富士フイルム富山化学) Photo:Bloomberg/gettyimages

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン開発と並行して、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)の治療法を確立するための臨床試験が急ピッチで進んでいる。ただし、新薬をゼロから開発する余裕はなく、現時点では既存の抗ウイルス薬や創薬途上の薬から新たな有効性を見出す開発手法(ドラッグ・リポジショニング)が柱だ。現在の開発状況をまとめてみた。(医学ライター 井手ゆきえ)

【警告】以下に挙げる薬剤はまだCOVID-19の治療薬として確立したものではない。個人輸入、あるいは処方済みの薬を譲ってもらうなどの手段で勝手に服用した場合、致死的な結果が生じる可能性がある。くれぐれも参考情報にとどめてほしい。

日本でレムデシビルの臨床試験を開始
抗HIV薬のカトレラはネガティブな結果

◎レムデシビル:国際多施設共同臨床試験がスタート

 国立国際医療研究センター(NCGM)は3月23日、メディア向けの勉強会を開催。その席で大曲貴夫国際感染症センター長は、COVID-19を対象とした抗ウイルス薬「レムデシビル」の臨床試験を開始すると公表した。