今から日本の国家破産に備える方法 2012年8月20日

日本人を待っていた浅い眠り(第1部:第1回)

 実際、最初のうちはこの異変は歓迎されていた。預金金利が5%に上がって、「利子で生活が楽になった」と喜ぶ高齢者がワイドショーで紹介された。日本の財政危機が顕在化すると為替は大幅な円安になるはずだと、多くの人々が予想していた。

 だが、実際にやってきたのは超円高だった。

 ヨーロッパでは、ギリシアの財政が完全に破綻してEU政府の管理下に入り、スペインやポルトガル、イタリアなどの南欧諸国の国債がデフォルト懸念で暴落、金利の高止まりとユーロ安が続いていた。ユーロの通貨価値はドイツの輸出によって支えられていたが、賃金の安い東ヨーロッパへの製造業の流出でとうとう経常収支が赤字に陥った。そうなればユーロ圏全体が経常赤字となり、通貨は信認を失うことになる。

 そんなタイミングで日本の金利が上昇したため、海外の投資家は競って日本国債を買い始めた。わずかな期間で、短期債を中心に日本国債の外国人投資家による保有比率は約3割にまで上昇した。

 日本の経済は、家計など国内の貯蓄で政府の赤字を賄えなくなっていた。外国人投資家が日本国債を買い支えたことで、金利の上昇やインフレがかろうじて抑制されていたのだ。

 しかし、海外からの資金流入の影響は別のところに現れた。円相場が徐々に上昇し、度重なる為替介入にもかかわらず1ドル=70円を割ったのだ。この超円高によって輸出企業の業績は急速に悪化し、失業率は7%台にまで上昇した。日本の製造業はまったく利益をあげられなくなり、自動車や電機などのメーカーとその下請けの子会社だけでなく、鉄鋼や非鉄金属、化学などの素材メーカーまでが国内の工場を閉鎖して、日本経済のサプライチェーン全体が海外に移転してしまった。

 同時に、大幅な赤字に陥った日本企業は海外資産の売却を始めた。500兆円に及ぶ日本の対外資産が売られれば米国債が暴落するとの懸念が表面化し、スタンダード・アンド・プアーズとムーディーズは相次いで米国債の格付けを引き下げた。基軸通貨、ドルの信用不安は世界経済に激震をもたらし、為替レートは1ドル=50円台に突入した。

 日銀は“禁じ手”とされてきた外債の直接購入に踏み切ったが、恐怖に駆られた投資家たちの津波のようなドル売りに抗すべくもなかった。

 こうして日本の輸出産業は、完全に息の根を止められてしまったのだ。

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