3月半ば、世界的な株価急落のさなか、ドル円が111円台へ上昇した。「リスクオフなのに円安」だ。その前には定石通りの「リスクオフで円高」で101円台に至った。リスクオフが高じて起こる円安は過去にも事例がある。その背景、今後の動向について、特殊な相場故の応用問題を解いておこう。

 リスクオフ下で円安がジリジリ進むのを観察して、当初は日本の公的年金基金の「代理介入」を疑った。間もなく、円以外の安全資産がそろって売られているのを見て、「トイレットペーパー騒動」にも似た、ドル流動性確保への殺到と判断した(上図参照)。