子どもの休校に収入消滅…貧困家庭をコロナから救えるのは「現金」しかない不況で仕事がなくなった上に、子どもが全校休校で学校に行けなくなった貧困女性たちを救えるものは何か(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「少しでも早く現金を」
給付金の送付を急いだスタッフたち

 3月2日、安倍首相の意向により、全国の小中学校・高校・特別支援学校で休校が開始された。正確には、文科省からの「要請」を受け、各自治体の責任で休校が決定された。3 月2 日から春休みまでの休校を要請したいという安倍首相の意向が示されたのは、2月27日だった。休校がもたらした混乱と困惑は、計り知れない。

 子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば・代表理事の小河光治さんは、「こんなこと、絶対やっちゃいけない」と強く思ったそうだ。

「学校しかセーフティネットがなかったのに、それが突然、切られたんです」(小河さん)

 あすのばは、4月に入学・進学・卒業・就職などの新生活を迎える子どもたちを対象に、「あすのば入学・新生活応援給付金」を贈る活動を続けている。金額は3万円(小学校入学)から5万円(高校卒業等)、震災や水害などの災害で被災した場合は1万円を増額する。

 給付金は、最も出費の多い3月中に、「あなたのことを想っている人々が『ここにいるよ。』」というメッセージと共に届けられ、ランドセル・制服・学用品・机・部活用品・学費・新居の家具・自動車学校の費用の一部など、様々な用途に使用される。

 今年度の給付金は、約2000人の子どもたちを対象に、3月19日に送付される予定だった。しかし、今回の休校による深刻な影響を予想したスタッフたちは、予定を前倒しし、3月5日から11日までに、書類に不備のなかった約1900人の子どもたちに送付した。

 2017年に実施した給付金の対象者への調査では、52%が貯金なし、20%が貯金50万円未満であった。4分の3がおおむね「貯金なし生活」だった。

「今回の休校のような事態は、一定の貯蓄のあるご家庭でも大変です。貯蓄のないご家庭の場合、もともと就労形態がパートであることが多いので、すぐ収入減につながってしまいます」(小河さん)