潜入!グーグル経営道場#5Photo by Hiroyuki Oya

グーグルの経営道場では目標管理などの実践的手法の他にも、スタートアップの幹部向けに、リーダーとしての資質を磨く講座が開かれた。伸びる組織に求められるリーダーの条件とは何か。成果を上げ続けるチームの構築には何が必要なのか。特集『潜入!グーグル経営道場』(全6回)の#5では、グーグルの人事担当者が講師を務めたリーダー養成講座に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

失敗したスタートアップは
65%が「人」の問題が原因だった

 2月21日、東京・渋谷の「Google for Startups Campus」は、普段よりも心なし静かだった。それもそのはず。この日のグーグルの経営道場の講座は、リーダーとしての資質を磨くためのプログラム「FoundersLab」。参加できるのはスタートアップのCEO(最高経営責任者)などの幹部だけという、ごく少人数しか受けられない講座なのだ。

 講師を務めるのは、グーグルシンガポールの人事リーダー、ケリー・オシェイ氏。参加者たちは最初にペアを作るよう求められ、1枚の紙と鉛筆が配られた。そしてオシェイ氏はこう告げた。

「パソコンとスマートフォンをしまい、相手をよく見て、3分間で似顔絵を描きましょう。描いている最中は相手に見せちゃ駄目ですよ」

 戸惑いながらも、真剣に似顔絵を描き始めるスタートアップの幹部たち。3分後、完成した似顔絵を相手に見せるよう指示が飛ぶ。「うまーい!」「全然違う!」。悲喜交々の声があちこちから上がった。

 オシェイ氏は、似顔絵を一つ一つ周囲に紹介しながら語りかけた。「小さく精密に描く人もいれば、紙を大きく使う人もいる。似顔絵も、相手の顔だけ描く人、全身を描く人と、皆バラバラですね」。そして、こう続けた。

「失敗したスタートアップの原因は、人の問題が65%。人はアルゴリズムではなく、感情を持ち、皆違う存在なのです」

 似顔絵を描くことにはどんな意味があるのか。オシェイ氏に聞くと、こんな答えが返ってきた。