品質が良くても
中国では売れない

「中国では“良いモノ”ではなく、“有名なモノ”が売れる」

 未だにこの大原則を知らずに中国に進出する日系企業が後を絶ちません。「ウチの商品は品質がいい」とか「ウチの商品は日本で人気がある」という理由だけで、中国でも売れると思い込み、13億の巨大市場に期待を膨らませて、意気揚々と中国に上陸します。しかし現実は甘くありません。予想とは裏腹に、中国では商品が全く売れないという結果が待っています。中国人消費者は、いくら品質がよくても、今まで見たことがない商品をそう簡単には買ってくれないからです。

 期待に反して「売れない」という現実を目にした日系企業の経営者の多くは、「やっぱり中国市場は難しい」とか「中国人消費者レベルはまだ低い」と全てを市場のせいにして、原因の分析をせず、厳しい現実に蓋をしてしまいがちですが、実際には「失敗するべくして失敗している」だけなのです。

多くの中国人は
買い物経験値が低い

 中国で良いモノよりも有名なモノが売れる主な理由は2つあります。

 1つ目の理由は、性悪説で考えることが常識となっている中国では、「有名なモノ=安心して買えるモノ」と考えられているからです。日本と違い、不良品やニセモノが堂々と本物と並んで売られている中国では、自分の身を守るために用心深く買い物をせざるをえません。そうなると必然的に、今まで自分が買って問題のなかった商品、自分以外の多くの消費者が買っている有名なブランドの商品を買う方が安全ということになるのです。中国人消費者にとって聞いたことのないブランドの商品は、たとえ良い商品だとしても、最初から購入対象とはなりえないのです。