本間氏によると、コーチ用のアプリでは「この生徒にこのようなアドバイスをしたほうが良い」といった指導のレコメンド機能も提供している。このレコメンド機能はまだ完全なものではないが、今後よりデータが蓄積されることで、精度が更に向上するという。チャットボットを使用した自動化も将来的には可能だが、Manabieでは「生徒はボットよりもコーチからアドバイスを受けるほうが耳を傾ける」(本間氏)と考えている。そのため、今後も指導は人間が行うことを徹底し、サポートするシステムの精度をより高めていく方針だ。

 コーチの役割は、あくまで生徒のモチベーションを維持し続けること。「この問題が解けない」など学習内容におけるアドバイスは、コーチとは別にチューターが行う。Manabieでは動画を短尺にすることでチューターの役割を最小限に抑えることに成功している。

 従来の学習動画は、本間氏の話だと10から20分程度が一般的だった。だがManabieが提供する動画は2、3分程度と、かなり短い。その理由は2つある。まず、動画が長いと早い段階での離脱率が高くなってしまうため、短くすることで回避した。そして「1つの動画で1つのコンセプトを解説する」ということにこだわったからだ。生徒が学習につまずいた際には、コーチが「それではこの動画を見てみましょう」と提案して、ピンポイントで必要な情報を学ぶことができる。

 全ての問題に解説が用意されているため、基本的には「子供が自分だけで学べる」設計になっている。だが、「どうしても分からない」という事態にはチューターが対応する。チューターもコーチ同様に専用のアプリを使い、通知があり次第、生徒からの質問に答える。

 本間氏が言うには、生徒がチューターに頼るのは「何を質問して良いかわからない状態」の時だ。「正しい質問ができる場合、ほぼ答えは分かっている」(本間氏)からだ。

 チューターは問題の解き方を解説する。深夜などは対応できないため、原則12時間以内、基本的には30分以内に対応する。

多国展開の鍵は学習動画の“アニメ化”

 Manabieが提供する動画は、短尺であると同時にアニメーションであるということが特徴的だ。50名ほどの社内チームが制作を担当し、現在では高校生1~3年生を対象にした4教科分、合計1000本ほどの動画が用意されている。

 先生が黒板を背景に指導する動画の場合、先生がいる国の言葉で黒板に文字を書くため、言語依存が生じてしまう。だが、コンテンツをアニメ化することで、多国展開を容易にした。同じコンテンツを国ごとに翻訳し、字幕や音声をつけ、さらに各国のカリキュラムに合わせて学習順序を並び替える。

 そして国ごとの学習要項に合わせて、必要な内容だけを付け加える。これは黒板を背景にしたいわゆる「先生の解説動画」では困難だった。再撮影が必要となる上、話せる言語は限られているからだ。また、アニメ化することで表現の幅が広がり、複雑な内容でもわかりやすく工夫し解説できるようになった。