3年連続幸福度1位、フィンランド人の国民性を表す「シス」とは?Photo:123RF

レビュー

 フィンランドと聞いて思い浮かべるのは、森と湖の国、女性に人気の「マリメッコ」などの北欧デザイン、ムーミン、サウナ、教育や福祉制度が整っていることなどだろうか。興味が尽きせぬフィンランドは、いったいどんな国なのか?

『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』書影『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』 堀内都喜子著 ポプラ社 946円(税込)

 本書『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』の著者は、2000年代にフィンランドの大学に留学し、その後現地で働いた経験を持つ。現地で見聞きし、体験したフィンランドの魅力と、それを可能にする背景がコンパクトにまとめられたのが本書だ。フィンランドは3年連続幸福度1位で、日本よりも圧倒的に人口の少ない国だが、一人あたりのGDPは日本よりも高い。にもかかわらず、タイトルにあるとおり、ほぼみんな午後4時に退勤しているという。

 国の制度、環境が日本とは違うため、フィンランドの実践をそのまま日本に適用するのは難しい面もあるだろうし、著者もその部分は認めている。とはいえ見習える部分はいくつもあるはずだという希望が、ひしひしと伝わってくる。要約者は、自分が知らず知らず、「残業をするのが普通」「趣味より仕事のほうが優先」という考えにとらわれていることにハッとした。変えるべき部分はこうしたメンタリティーなのだろう。

 働き方改革の本当の目的を果たすためには、フィンランド流の働き方や思想をしっかり理解することが第一歩となるのではないだろうか。これを機会に、生き方・働き方を問い直してみていただきたい。(泉 未来)