閑散とする大阪・新世界新型コロナの感染拡大に際し、中小事業者や従業員から聞こえてくる悲鳴。大阪で反貧困運動を続ける団体が見た「リアル」とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

コロナの時代のクロニクルに
「貧困」の多様性を見る

 地域の低所得層の暮らしのために、長年にわたって活動を続けてきた大阪の団体が、新型コロナの感染拡大に際し、日々の取り組みをまとめ、団体の会員や関心層に向けた通信を発行している。開始された4月9日から4月28日までに、すでに5回の発信が行われた。

 4月7日に緊急事態宣言が発令されてから2日後にあたる4月9日に発行された第1回で目立つのは、経営が立ち行かなくなった中小規模事業者の声だ。フィットネスクラブ、飲食店、スナック、カラオケ店など、2月から3月にかけての自粛要請の影響を受けやすかった業種が目立つ。

 店舗を維持するのなら、月々の家賃を支払う必要がある。廃業する場合でも、原状回復などの費用が発生する。いずれにしても、公的金融機関からの融資はほぼ必須となる。

 雇用されて働いている人々も、もちろん深刻な影響を受けている。仕事がなくなったり減少したりしたために、生活保護を必要とする人々がいる。年齢では50代から60代が目立つが、30代もいる。

 また、パニック障害によって就労を継続できなかった人もいる。雇用形態が判明している事例では、パート雇用だった人がいる。もともと、好条件で雇用されていたわけではなかったり、軽い障害があったりした人々が、コロナ禍で真っ先に仕事と収入を失った形だ。

 アパートの大家さんからは、将来の経営悪化に備えた相談もある。入居者が家賃を支払えなくなる可能性はある。また、空室問題が深刻化する可能性もある。