パリパリが明るくて清潔な都市へと生まれ変わったころ、ドイツでは画期的な発明があった Photo:PIXTA

3月11日のWHO(世界保健機関)による「パンデミック」宣言から約2カ月、より勢いを増して世界で猛威をふるっている新型コロナウイルス。いまだ終息が見えず不安な日々が続いている。しかし、人類は過去に、ペストや天然痘といった感染症のパンデミックを何度も経験してきた。これまでに日本と世界で起きた感染症は何が発生源だったのか。当時の為政者や民衆はどのように対処してきたのか。流行の前と後で何がどう変わったのか……パンデミックの歴史を探ることで、現状を変化させるヒントが見つかるかもしれない。そこで今回は、歴史作家の島崎晋氏の『人類は「パンデミック」をどう生き延びたか』(青春出版社)から、パンデミックの前後で大きく変化した世界の都市の事例を紹介する。

ロンドンを何度も恐怖に陥れた感染症「コレラ」

 蛇口をひねれば安全な水が出て、生活で出る排水は汚水処理が行われる。今では普通である「上下水道の管理」だが、かつて当たり前ではなかった。

 水や食べ物にコレラ菌があると感染し、排便によりさらに広く感染する恐れがある。感染症対策には公衆衛生が大切であると強く認識されたのはこの「コレラ」が関係していた。