コロナ禍が米国の自動車保険にもたらした「思わぬ副作用」Photo:PIXTA

大手自動車保険会社が
保険料の最大15%返還を発表

「コロナウイルス騒ぎのたったひとつのメリット」と米国で自虐的にいわれているものが、渋滞解消と澄んだ空気だ。全米の主要道路を走るクルマの量は、多くの州で外出禁止令が出された影響もあり、35~50%減少している、といわれる。とくに全米最大のクルマ社会となったロサンゼルスでは、3月19日の外出禁止令以降、きれいな青空が広がっている。ニュースでも「今日も公害の少ない澄んだ空気が味わえます」などと放送しているほどだ。

 こうした事態の中、アメリカの大手自動車保険会社であるオールステートが総額6億ドル(約653億円)もの保険料の返還を発表した。人々がクルマに乗らないので、事故などの発生率が低くなる、その分を契約者に還元しようというのだ。オールステート保険の利用者は全米で1800万名以上、その多くが保険料の最大15%を受け取ることになるという。

 このオールステートの動きに、他の保険会社も追随すると見られている。従来型保険会社の多くが「自社でも実施しよう」となる可能性が高いという。

 実際、アメリカのドライバーは保険会社に対し「まったくクルマに乗っていないので、保険を解約したい」などの問い合わせをしているという。“乗らないのに保険を支払うのはバカバカしい”という考えだ。