アカウンティングは「企業は永遠に継続するもの」という前提に基づき、人為的に区切った会計期間を用いて経営成績を把握する。その結果、実際の現金の収入・支出と会計上の収益・費用の認識との間にズレが生じる。利益を確定するには、収益・費用をどの時点で認識するかを決めなくてはならない。認識基準として、現金主義、発生主義、実現主義がある。
期間損益計算
アカウンティングは「企業は永遠に継続するもの」という前提に基づいている(これを「ゴーイング・コンサーン:going concern」と言う)。そのため、企業の存続期間を1年、半年、四半期といったサイクルで人為的に区切って、各期間の経済活動と各期末の財務状態をとらえる。1年間の区切りを「会計年度」と言い、期末の企業財産の状態を確定させることを「決算」と言う。
各期間の経営成績を正しく示すためには、期間損益計算に基づく必要がある。企業は日々活動し、収益(売上高)と費用は絶えず発生する。利益(収益-費用)を確定するには、どの時点で収益と費用を認識するかが問題になる。その認織基準として、現金主義、発生主義、実現主義の3つの方法がある。
現金主義、発生主義、実現主義
現金主義では、現金の収入(入金)・支出(支払)と同時に収益・費用を認識する。したがって、収入=収益、支出=費用という関係が成立する。しかし、企業活動の実態を考えると、現金主義による期間損益計算では経営成績を正しく示すことができない場合が多い。たとえば、後で代金を受け取る約束で品物を売る「掛売り」の場合、商品の引き渡しが終わっても、実際に入金されるまでは収益が計上されない。また、家賃を2期分前払いした場合、全額が今期分の費用となってしまう。
そこで、適切な期間損益計算を可能にするのが、発生主義や実現主義だ。発生主義は「経済的価値」が増加または減少した時点で収益・費用を認識する。費用を計上する際には原則的に発生主義が基準となる。発生主義の場合、支出と費用が一致しない(支出≠費用)ことがあるので注意しなくてはならない。たとえば、家賃を2期分前払いした場合、使用期間相当分(1期分)が今期分の費用となり、残りは翌期分の費用と見なされる。同様に、家賃を後払いする場合は、まだ現金を支払っていなくても、使用期間相当分が今期の費用として計上される。