小売り絶対絶命 百貨店・コンビニ・外食#3Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの影響で、窮地に陥る外食業界。資金繰りにあえぐ、中小企業や個人店が増加しているが、大企業も例外ではなかった。上場外食26社の資金繰りを独自試算した「余命」ランキングでは、「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスの手元資金が2.2カ月しか持たないリスクがあることが明らかになった。特集『小売り絶体絶命 百貨店・コンビニ・アパレル・外食』(全7回)#3では、外食26社の資金繰りについてランキングを通じて探る。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

窮地に追い込まれた外食業界
4月の飲食店倒産件数は、30年間で過去最多

「コロナによる外出自粛の影響が出始めた3~4月ごろは、飲食店からの依頼の多くは家賃引き下げや支払い猶予だった。しかし資金繰りが苦しくなったのか、最近は『撤退したい』との相談が日に日に増えている」――。関東地方のある不動産会社の担当者は、飲食店の現状をこう明かす。

 新型コロナウイルスの感染拡大で外食業界が窮地に陥っている。外出自粛や休業要請により、足元の売り上げが激減しているのだ。

 居酒屋チェーン、鳥貴族の4月の既存店売上高は前年同月比で“96%減少”した。「4月は歓送迎会のシーズン。居酒屋業態は稼ぎ時で、各社の年間計画を大きく狂わせた。緊急事態宣言が解除されても、客足はコロナ前には絶対に戻らない」と、業界関係者は肩を落とす。

 資金繰りも急速に悪化しており、飲食店の倒産が続出している。東京商工リサーチの調べによれば、4月に倒産した飲食業は前年同月比約3割増の80件。2カ月連続で前年同月を上回り、4月としては1992年以降の約30年間で最多を記録した。

 金融機関による各種支援があるものの、「いずれの支援も不十分で、これからますます倒産は増える。本当に経営が厳しいところには、この危機的状況であっても民間の金融機関は貸してくれない」(飲食店経営幹部)と、資金繰りに苦しむ実情を明かす。

 ただ、“懐事情”が厳しいのは、中小企業や個人店に限らない。上場する大企業であっても例外ではないのだ。

 そこでダイヤモンド編集部では、上場する外食大手企業26社を対象として、新型コロナの影響による売り上げ減少に、どの程度の期間手元資金が耐えられるのか独自試算。コロナ時代に生き残るプレーヤーを探った。