コーヒーが大好きなカンボジアの人々の間に、新たなコーヒーが大流行。収入に対して高い値付けにもかかわらずカフェも大繁盛しているという。カンボジアの木村文記者からのレポート第二弾をお届けします!
経済成長を象徴するプノンペンのカフェ
プノンペンは、カフェブームである。
途上国、地雷、物乞い・・・そんなイメージを抱いて恐る恐る空港に降り立った人たちは、プノンペンの中心部へ行くと面食らう。こぎれいなカフェやレストランが立ち並び、客たちは最新型のスマホやパソコンとにらめっこ。もっと驚くのは客の多くがカンボジア人の若者であることだ。
「あの、かわいそうなカンボジアはどこへ行ったのだ!」と叫びたくなる、と冗談まじりに言った来訪者もいた。
もちろんこれは、都心のごく一部、経済成長の「光」の部分でしかない。貧富の格差、はびこる不正、教育問題、農村開発の立ち遅れ、労働問題など、光が強くなればなるほど根深くなる課題はいくらでもある。記者としての本来の仕事は、そんな高度成長の影を掘り起こし、伝えることだろう。
ただ、カンボジアのように、最新情報がなかなか伝わらず、外から戦争と貧困のイメージにラッピングされたままの国に住んでいると、「光の部分をもっと知って」と思ってしまうのだ。それほど、この国の一部は多くの日本人が持っているであろうイメージから、かけ離れた変化を遂げている。
その姿を象徴するのが、プノンペンのカフェだ。

ところでカンボジアでコーヒーといえば、こってりと濃くて甘い「ロブスタ種」の豆。缶コーヒーやインスタントコーヒーなどの原料にも使われる豆だ。独特のフィルターとカップで一杯ずつゆっくりと淹れるベトナムコーヒーは、このロブスタ種だ。
ベトナムでは女性はあまりコーヒーを飲まない、と聞いたが、カンボジア人は男性も女性もコーヒーが好き。ローカル食堂に行くと、店先でコーヒー豆をガラガラと煎っている。苦くて甘い香りがあたりに漂う。
人気があるのはアイスコーヒー。甘い甘い練乳をコップに1.5センチほど入れ、砕いた氷をぎっしりと詰めて濃いコーヒーを注ぎ込む。コップの底にたまった練乳をストローで好きなだけ溶かしながら楽しむ。そしてコーヒーを飲み終えたら、残った練乳に中国茶を注ぎ、今度はアイスティーにして飲み干す。
一杯で二度おいしいカンボジアのアイスコーヒーは、2000リエル(約40円)程度。南国の昼下がり、気だるいあの甘さを口にすると、「まあ、いいか」とキリキリした気分がやわらぐから不思議だ。

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