ICUの収容能力は限界

 正午過ぎ、前の晩からの徹夜勤務を終えた森川大樹医長は、東棟のコンクリート階段を上り、壁に大きなスクリーンがかかる会議室に入った。各科の責任者が、ここで新型コロナへの対応状況を報告し合う。

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スタッフに指示を出す森川大樹医。5月4日、神奈川県川崎市で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

 感染した疑いのある患者2人について、やり取りが始まった。「2人ともマイナス(陰性)でした」。「じゃぁ、もうロールアウト(一般病棟に移す)して大丈夫?」

「1人は大丈夫なんです」と森川医長が答える。「けれど、もう1人は濃厚接触者といた人なので、すぐには除外できません」。

 会議を主催していた藤谷センター長が、その1人をセンターに残すという指示を出した。

 森川医長は会議が終わると、カラフルな表を広げて見せてくれた。新型コロナの治療に当たる自身のチームを含めたICU内の勤務シフトだった。

「はじめは救急(担当チーム)だけでやっていたんだけど、パンクしてしまうということで、外科とか循環器内科とか(他の担当部門)から4人入れているんです」と森川さん。

「現在は最大で15人のコロナの患者を診る体制でこうなっているので、これ以上増やすというのには限界があると思う」

 ある時、ICUの能力すべてを新型コロナ患者に集中するべきではないか、という議論もあった。しかし、その提案は通らなかった。

「コロナじゃない他の患者はどこが診るのか。そういう問題もあった」と、森川医長は話す。同センターでは新型コロナの重症者向けの15床に加え、地域の医療機関として果たさなければいけない役割がある。2月以降、コロナ患者に対応しながらも、心臓発作や脳卒中などの重症患者も診療している。