米国コロナ後の米国は、このまま「大きな政府」へと傾斜していくのだろうか(写真はイメージです) Photo:123RF

新型コロナウイルス対策に国をあげて取り組んできた米国が、「大きな政府」に傾斜している。大恐慌がニューディール政策のきっかけとなったように、このままコロナ後の米国は大きな政府に進んでいくのだろうか。カギを握るのは、政府に対する有権者の信頼だ。(みずほ総合研究所調査本部 欧米調査部長 安井明彦)

新型コロナウイルス対策で
「大きな政府」が出現

 米国では、新型コロナウイルスへの対応を通じて、かつてないほどの大きな政府が出現している。大規模な対応が求められる危機ならではの現象だが、その規模は金融危機の経験をはるかに上回る。

 今年の3月から4月にかけて、米国は4つの新型ウイルス対策を矢継ぎ早に成立させた。総額は国内総生産(GDP)の約12%に相当し、2020年の財政赤字はGDP比で約18%に達する見込みである。こうした財政赤字の水準は、金融危機当時の同9.8%を大きく上回り、第二次世界大戦以来の高さとなる。債務残高はGDP比で100%を超え、2021年には第二次世界大戦の水準を上回りそうだ。

 金融危機への対応との大きな違いは、大きな政府の出現が、二大政党の合意に基づいている点である。第4弾までの新型コロナウイルス対策は、いずれも超党派の賛成で可決されてきた。厳しい党派対立が続く米国では、極めて珍しい現象である。