言語流暢性の領域では
5歳の若返りに相当する効果も
その結果、運動プログラム終了時点で、対象者の実行機能に5.7%の改善が認められた。実行機能には、集中する、計画する、指示を思い出す、並行作業を行うなどに関する能力が含まれる。また、情報処理速度の指標である言語流暢性は2.4%向上していた。Poulin氏は「この言語流暢性の改善は、5歳の若返りに相当するものだ」と述べている。
さらに、試験終了後の脳への血流は、試験開始前と比べて平均2.8%増大しており、通常、加齢とともに低下する思考力の改善に関連していた。Poulin氏は「われわれの研究から、活発な運動を6カ月間続けることで、脳への血流が増大し、言語能力のほか、記憶力や頭脳明晰さも向上する可能性が示された」とした上で、「年齢的には、正常な老化により低下していくはずのこうした能力が、逆に向上したという事実は非常に興味深い」と述べている。
Poulin氏は「有酸素運動が全身の血流改善に寄与することは分かっていたが、今回の研究で、脳内の、特に言語流暢性や実行機能に関わる領域への血流も改善する可能性のあることが分かった。この知見は、アルツハイマー病をはじめとする、認知症や脳疾患のリスクがある高齢者には特に重要だと思われる」との見方を示している。(HealthDay News 2020年5月15日)
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