自販機が新ビジネス模索、敵だったコンビニとのタッグからネット通販までPhoto:EschCollection/gettyimages

日本中で見かける自動販売機だが、新たな試みとして飲料以外の利用法が増えている。ダイドードリンコは、大王製紙などと共同で紙おむつの自動販売機を全国の道の駅などに4月から設置。北陸の道の駅には北陸コカ・コーラボトリングが液体ミルクを常備した自販機を設置している。商品以外でも、佐賀県では購入金額の一部がeスポーツに寄付されるという自販機が置かれている。そんな新たな自販機ビジネスの可能性を、日本自動販売システム機械工業会専務理事の恒川元三氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)

自販機の数は
20年で半分以下に

 さかのぼれば古代エジプト時代の聖水販売を起源とする自動販売機。そんな悠久の歴史を持つ自販機も時代の波にはあらがえず、国内では2000年の560万台をピークに減少の一途をたどり、現在は約240万台になっている。

 新たな自販機の可能性を探る前に、まずは自販機が減少した変遷を追っていこう。日本自動販売システム機械工業会専務理事の恒川元三氏は次のように解説する。

「飲料を扱う自動販売機が減少していることは事実です。まずは社会の環境の変化が大きいですね。一昔前は、サラリーマンが自販機でたばこと缶コーヒーを買う、部活終わりの学生が飲み物を買うというのが日常風景でした。しかし、たばこの成人識別IC『taspo(タスポ)』が導入されると、たばこの自販機が減少。それに伴い、併設されていた飲料の自販機も少なくなっていったのです」