リオネル・メッシバルセロナのリオネル・メッシ選手。長者番付けでは3位だが、競技活動収入では1位だ Photo:Tim Clayton - Corbis/gettyimages

超一流の輝きを放つプロアスリートたちは、1年間でどれだけ稼いでいるのか。ファンの興味をかき立てる、恒例のスポーツ長者番付が今年も発表された。アメリカの経済誌『フォーブス』が1990年から公表してきた、米ドル建ての年収額でランク付けされた100人の顔ぶれや順位、そして最も注目される金額やその内訳から見えてくる日本のスポーツ界との違いを、ランクインした10の競技の中からサッカーをフィルターにかける形で探ってみた。(ノンフィクションライター 藤江直人)

NBAとNFLが稼げるスポーツ

 米経済誌『フォーブス』が毎年発表する恒例のスポーツ選手長者番付で、調査が始まって30回目で大きな変動が起こった。

 5月末に発表された2020年版「The World’s Highest-Paid Athletes」で、テニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラー(スイス)がテニス選手として初めて首位に輝いたのだ。昨年6月1日からの1年間で稼いだ年収が1億630万ドル(約116億4800万円)に到達。サッカー界の両巨頭、ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)、アルゼンチン代表のリオネル・メッシ(FCバルセロナ)を僅差で抑えて、昨年の5位からジャンプアップした。

『フォーブス』「The World’s Highest-Paid Athletes」2020年版
 1、 ロジャー・フェデラー(テニス) 1億630万ドル
 2、 クリスティアーノ・ロナウド(サッカー) 1億500万ドル
 3、 リオネル・メッシ(サッカー) 1億400万ドル
 4、 ネイマール(サッカー) 9550万ドル
 5、 レブロン・ジェームス (バスケットボール) 8820万ドル
 6、 ステファン・カリー (バスケットボール) 7440万ドル
 7、 ケビン・デュラント (バスケットボール) 6390万ドル
 8、 タイガー・ウッズ (ゴルフ) 6230万ドル
 9、 カーク・カズンズ (アメリカンフットボール) 6050万ドル
 10、 カーソン・ウェンツ (アメリカンフットボール) 5910万ドル

 さらに、発表された100人を競技別に分類すると、興味深い特徴が表れた。

 35人を数えるNBA(米プロバスケットボールリーグ)、31人のNFL(米プロアメリカンフットボールリーグ)が抜きん出ている。これに続くのがサッカーの14人だ。個人競技であるテニスは6人、ゴルフとボクシングは4人、自動車競技の3人が続く。残りは総合格闘技、クリケット、そしてMLB(メジャーリーグベースボール)が1人ずつとなっている。

 出身国別で見てみると、米国がNBAとNFLを中心に68人と例年通り圧倒的に多く、英国5人、スペイン4人、フランス3人、ブラジル、ドイツ、そして日本がそれぞれ2人と続く。他に、ロナウドのポルトガルやメッシのアルゼンチンなど、1人がランクインしている国が14だ。