Luupの電動キックボード。写真は東京モーターショー2019に出展した際のもの 提供:Luup

新型コロナウイルスの感染が拡大し、ソーシャルディスタンスを意識した新しい日常が始まった。三密を避ける新たな移動手段が求められ、電動キックボードのシェアリングサービスにとっては規制緩和に向けた追い風となっている。各事業者は公道での実証実験を今秋より実施することを目指し動いている。(ダイヤモンド編集部 菊池大介)

電動キックボードが“シェアリング”であるべき理由

 欧米を中心に海外で短距離の移動に活用される電動キックボードのシェアリングサービス。スマホのアプリで機体を探し、解錠。目的地まで移動したら乗り捨てたり、街中に設置された専用のポートに返却する。ライドシェアを利用するほどの距離ではない、また、スーツやスカートなど、自転車に乗りにくい服を着ていても立ったまま手軽に乗れることで、人気を集めている。

 日本では2019年、米国大手のLimeとBirdが8~9月に、福岡市の⾙塚公園で国内初の実証実験を行った。同じく昨年、国内事業者のLuupは横浜国立大学の常盤台キャンパス内の一部区域で、mobby rideは九州大学の伊都キャンパス内で、政府の「規制のサンドボックス制度」を活用し、実証実験を実施した。規制のサンドボックス制度は、事業者が規制官庁の認定を受けた実証を行い、得られた情報やデータをもとに規制の見直しに繋げていく制度だ。

 実証実験が行われている理由は、日本の現行法上、電動キックボードは原付自転車として扱われるからだ。公道で走行するにはウィンカーなど国土交通省が定める保安部品を取り付け、原動機付自転車登録をし、免許証を携帯する必要がある。そのため、現状のままでは気軽に利用できるシェアリングサービスを展開することは難しい。そして、原付自転車としての扱いの場合、車道のみ走行可であり路側帯には入れず、さらに車と比較すると速度が遅いため、安全性が懸念される。

 電動キックボードの販売も増えてきたが、単に公道を走行できる仕様にしただけでは安全性は担保できない。一方、シェアリングサービスでは危険エリアでの走行を制限したり、エリアによってスピードの上限を設定することが可能だ。そのため、シェアリングサービスの各事業者は、日本に最も適した形で事業が展開できるよう、適切な規制緩和が必要だと考え、政府に働きかけている。