銀行のカード「どんぐりの背比べ」のように見える3大メガバンクの手数料優遇サービスだが、実際のところ「おトク度」はどれだけ違うのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

マイナンバーとのひも付けで注目
銀行「手数料優遇サービス」の通知表

 マイナンバーをめぐる動きが、にわかに慌ただしくなってきた。高市早苗総務相は、6月9日の記者会見の場で、マイナンバーと預貯金口座のひも付けについて1人1口座の登録義務化を目指すと明らかにした。

 ご存じの通り、1人10万円の特別定額給付金ではオンライン申請をめぐる混乱が発生している。銀行口座の確認などに追われたあげく、「給付スピードが遅いではないか」と国民から非難ごうごうの状況だ。もし、事前に振込先の口座番号がマイナンバーと紐づけされていれば、同様に災害時や経済支援の給付がもっとスムーズに進むのではないかと、国は訴えているわけだ。

 実際には、現在も銀行口座に対しマイナンバーを届け出る義務はある。しかし、投資商品の取引以外には必要とされないのが現状で、銀行側も預金者に強く求めずにいた。今後は法改正を経て、実施される方向へ向かいそうだ。

 もしそうなれば、銀行としてはチャンス到来といえる。ひもづけに際して、金利優遇やポイント付与などに関する大キャンペーンを張るところも出てくるのではないか。

 さらにおいしいのは、子ども用の口座を開いてもらうことだろう。その子が成長し就職して、給与受け取りのメイン口座としてそのまま使い続けてくれれば言うことはない。

 クレジットカード料金や公共料金、保険料の引き落としから投資商品の積み立てまでやってくれるなら、黙っていても手数料が稼げるだろう。「銀行ビジネスはもうオワコン」という声も聞こえてくるが、そんなこともない。いったんメインバンクと決めてもらえば、「現状維持バイアス」の心理が働き、利用者の多くは乗り換えを考えずに使い続けてくれる可能性が高いからだ。