中国 2020年6月19日

【緊急レポート】中国で15年ビジネスしてもわからなかった
中国人と中国社会のリアルが、コロナを通して見えてきた!

中国経済驚きの回復力

 中国経済の回復は、日本から見ていては気づかないほど早い。最近のいくつかのニュースを列挙するだけでも十分にそれを感じ取ることができる。
 
「スタバが中国で出店加速、今期500店以上の純増めざす。同社の中国店舗数は4400店舗を突破」
「コマツ中国建機の5月稼働時間3%増。昨年10月以来の高水準に」
「4月の中国での生産台数が前年同月比プラスに戻ったトヨタ自動車」
「セブンイレブン湖南省初の店舗が長沙にオープン。初日の売上日本円約750万円」
「中国と欧州を連絡する国際長距離貨物列車“中欧班列”は往来46%増、4月は過去最多979本」
「エルメスの中国旗艦店、ポストコロナの1日の売上高が過去最高に(1日売上、約2億8,500万円」

 中国の社会を底辺で支配しはじめたのは「ビッグデータ(BD)」「(決済をはじめとする)社会プラットフォーム(PF)」「人工知能(AI)」の3つだと私は考えている。中国では、表面的には民間企業がこれらのサービスを提供して躍進しているが、その背後では政府がBD/PF/AIのクロスポイントで消費に紐づいた国民の行動・購買・決済のあらゆるデータを収集している。

 これらが、アリババの芝麻信用(セサミクレジット)などとリンクし、個々人の社会的信用スコアとして集計され、このスコアが高いと、自転車シェアサービスを利用する時にデポジットを払わなくてよくなったりと、社会的なベネフィット(利便性)はとても高い。

 1960年代に「黒い猫でも、白い猫でも、鼠を捕るのが良い猫だ」(白猫黒猫論)と鄧小平が言い放って以来、中国は経済成長まっしぐら。「どんな方法でもお金を稼ぐ奴が人生の成功者だ」という価値観を誰もが信じ、体現してきた。

 それがここ10年ほどで、「人生お金だけじゃないんじゃない?」という国民の声と共に、政府・共産党も行き過ぎた経済偏重のツケを払わされ、腐敗撲滅にやっきになってきた。これは裏を返せば、悪いことをしても見つかりさえしなければOKというルールがはびこってきたということでもある。

 そして今、中国が創ろうとしている価値観の根本にあるのはこれに対するアンチテーゼ、すなわち「良き行ないをするものを良きに計らい、悪しき行ないをするものを悪しきに計らう」という社会的価値観の醸成、ルールづくり、監視実行の仕組みである。

 「中国人は政府を信じていないから」このセリフを何度聞いてきただろう。しかしながら、非常事態における中国人の結束力の強さと政府への堅い信頼を、今回のコロナを通して見ることができた。

 中国は、超巨大な独裁型ベンチャー企業として成功をしつつあり、同時にBD/PF/AIのデジタルウェポンを使って国を支配する価値観や秩序を(国が考える)正しい方向に強制しようとしており、こちらも今のところ成功している。

 これはもちろん、中国政府に対する中国国民の全幅の信頼という話でもないし、中国への美辞麗句を並べるものでもない。当然ながら、中国には多くの社会問題や政治問題が存在する。

 過去数年で普及した情報システムで過剰なほどの個人情報を取得したところに、今回のコロナで、個々人の健康情報までデジタルで管理するシステムを導入した。健康保険証のデジタル化である。もともと個人情報の意識が低い中国国民に、安全という大義名分で登録を普及させ、見事に国民個人情報の取得に成功している。

 国民が個人情報を国に提供し、その代償として優良な行動を伴う市民は、優良な社会サービスを受けられる仕組みをひとびとの多くが支持している。私はこれを、“デジタルによる第二次文化大革命”と呼んでいる。

 「中国人は絶対に政府を信用しない」と15年信じてきたことが、なんだかウソになり、「中国の本当は何なのか?」をこれから、一切の偏見なしに見つめなければならないきっかっけに、コロナはなったのではないかと思う。
 
 日本人も日本のメディアもそろそろそのことに気づき、まっさらな気持ちと眼で海の向こうの景色をみる時が来たのではないだろうか。

成都の繁華街にあるISETANは、いつも人であふれていた【撮影/AIC、2013年】

(文/金伸行)

著者紹介:金伸行(きむ・のぶゆき)
お金儲けの神様「邱永漢」と出会って2005年より四川省成都市に在住、日本生まれの韓国人。グループ会社3社の代表をつとめ、主事業は外食で、焼肉・すきやき・しゃぶしゃぶ・イタリアン・うどん・そば・定食・カフェ・スイーツ等々多岐にわたる。トライアスリートとゴルファーの傍ら副業で会社経営をやっていると嘯くが、肉事業に対する想いは熱い。世界10拠点戦略に基づき事業拡大中。

 


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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