金与正氏と文在寅大統領Photo:EPA=JIJI

爆破された連絡事務所は
文大統領肝いりの施設

 北朝鮮が南北交流の象徴だった開城の南北共同連絡事務所を爆破するなど、韓国との対話拒絶を明確にする実力行使に出たことで、朝鮮半島情勢はかつての韓国保守政権時代に戻るかのような対立の構図だ。

 北朝鮮が新たな挑発に踏み出した背景には、米国との非核化交渉の行き詰まりや制裁の長期化に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大で中国との国境を閉鎖せざるを得なくなり、一段と経済情勢が悪化したことなどがある。

 国民の不満を外に向ける思惑があるとともに、金正恩労働党委員長らのいら立ちと怒りの矛先は韓国の文在寅大統領に向けられたといえる。

 16日、南北共同連絡事務所の爆破を命令した正恩氏の妹の金与正氏は談話文で、「わが祖国の象徴であり、偉大な尊厳の代表者である委員長同志の絶対的な権威を冒涜(ぼうとく)し、わが地域に汚物(ビラ)を押し付けたクズども」に対する報復と明言したが、本音は違うところにあったと思われる。

 表向きは、金正恩委員長を批判するビラを風船で飛ばした韓国の脱北者団体を非難したものだが、報復の最初のターゲットに南北共同連絡事務所を選んだことからも北朝鮮の「真意」がうかがえる。