株式レポート
8月30日 18時0分
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均衡水準で持ち直した米住宅価格 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・米国の住宅市場は、2012年年初から緩やかながらも回復が続いている。最近発表されている住宅販売・着工関連指標は総じて予想の範囲内の結果だが、最も注目される住宅業界の景況感を表すホームビルダー景況指数(住宅市場指数8月分)は37と足元で一段と上昇し、2009年の回復局面以来最も高い水準まで改善している(グラフ参照)。


・米国では、春先から個人消費や企業景況感などが悪化し、まだそれが回復に転じたか判断が難しい微妙な段階にある。こうした中で、住宅関連企業の業況だけ、同様の悪化がみられていない。同サーベイは住宅着工などの先行指数であり、この指数改善を後追いする格好で、住宅販売や着工も回復基調を保つとみられる。

・そして住宅市場の回復は、2011年末まで低下していた住宅価格の上昇をもたらしている。今週発表されたS&Pケースシラー住宅価格指数は、2012年2月から5ヶ月連続で上昇し、2011年半ばの水準まで戻ってきた(グラフ参照)。もちろん、歴史的にみれば住宅価格の水準はまだ低く、この程度の価格持ち直しでは、多額の住宅ローンを抱える多くの家計の「債務超過」は依然解消しないなど問題は残る。


・ただ、これまでの金融緩和や世界的な金利低下で、借入れコストが一段と低下したことが家計の住宅購入を支えているのは事実である。また、低金利で行き場を失ったマネーが住宅市場に戻り始めている面もある。やや長い視点で考えると、欧州問題への懸念で安全資産である国債にマネーが集中したため、行き過ぎた金利低下(=異常な価格形成「8月21日レポート参照」)が、米経済の需要を支えているということだろう。

・なお、より長期の視点で、足元で反転しつつある米国住宅価格の水準の位置を確認するには、「家賃」を住宅価格の便宜的な「均衡水準」として比較する方法がある。グラフで両者を比較しているが、2012年1月に、家賃から算出される「均衡水準」まで住宅価格が下がり、これをボトムに持ち直しに転じたようにみえる。


・2012年5月以降の米国などの主要国の大幅な金利低下は、米欧諸国がかつての日本のような状況に至ることを示していた。1980年代後半の土地バブル崩壊後の日本は、住宅など土地価格がこうした均衡水準を下回っても、下落に歯止めがかからない状況に陥った。住宅価格が均衡水準を保っている米国は、かつての日本とは異なるということである。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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