不妊治療と流産を経た「令和のDINKs」、子どもがいない人生に持つ夢とは不妊治療と流産を経てたどり着いた夫婦の夢とは(写真はイメージです) Photo:Simon Battensby/gettyimages

Double Income(夫婦2人の収入)、No Kids(子どもがいない)の頭文字を取った言葉「DINKs(ディンクス)」。子どもをつくらない選択をした共働きの夫婦のこと。しかし、一口にDINKsといっても、その選択をした理由は夫婦それぞれであるし、どのような生活を送っているかも夫婦によって違う。令和のDINKsのスタイルを探る。今回はシリーズ3回目。(フリーライター ふくだりょうこ)

出会って1年足らずで結婚 
夫は穏やかで真面目な人

 「これですか? 2人の趣味なんですよ」

 オンライン取材での画面の中、目を引くのは部屋の壁にかけられたギター。思わず尋ねるとそんな言葉が返ってきた。
 
 今回、話を聞いたのは編集者のユキさん(仮名)39歳。同い年の夫・マサキさん(仮名)と結婚して5年目になる。

 2人の趣味は音楽。行きつけのライブバーで知り合って間もなく、一緒にバンドを組んだ。
 
「バンドは期間限定だったので、活動が終わってしまうと会う機会もなくなる。そう思って自分から声をかけました」と語るのはユキさん。穏やかなマサキさんに惹(ひ)かれたが、実は、それまでに学生時代から10年付き合っていた男性がいたという。
 
 「以前付き合っていた人は、今考えるとモラハラ男性だったんだと思います。フリーターで、趣味はパチンコ。人の家に転がり込んでくる。暴力を振るうことはありませんでしたが、突然キレることもあり、地雷がどこにあるのか分からなくて怖かったですね。それでもユーモアのセンスもあり、楽しいこともたくさんあったので、気がつけば10年。向こうは結局、結婚は考えていなかったようで、私から別れを告げました」
 
 だからこそ、今度は正反対の穏やかな男性に惹かれたのかもしれない。マサキさんは、とても堅実な“ちゃんとした”男性だった。
 
 「当時、彼は電子機器開発の中小企業に勤めていたのですが、給料は私のほうが少し多くもらっていたんです。家族を作るのだったら父親と同じくらいの生活レベルまでは持っていかなきゃいけないと夫は考えたらしくて、付き合って2カ月ぐらいで転職活動を始めました」
 
 マサキさんが転職を決めたのは、誰もが知っているような大手企業。前の彼氏のこともあり、ユキさんは男性にあまり期待をしていなかった。しかし、がむしゃらにがんばる彼の姿に少しずつ考えが変わっていく。

 転職が決まってから「ご両親に会いに行こう」とプロポーズ。一緒に住むなら結婚すべきだ、という彼の言葉にユキさんはうなずいた。

 出会った翌年に結婚。10年付き合っていた恋人とは正反対な相手とのゴールインだった。