東京労働局前で「雇用を守って」と訴える東京美々卯の従業員たち
東京労働局前で「雇用を守って」と訴える東京美々卯の従業員たち(写真は全国一般東京地本提供)

ホテル、飲食、アパレルなどで関連する新型コロナ関連の倒産が広がっている。その多くはインバウンド客の消失、外出自粛などで消費が“蒸発”、休業による固定費負担、負債返済も重なって追い込まれたものだ。だが、なかには資産が十分あるのに、なぜか事業を閉じる会社もある。5月20日、都内全6店閉店に踏み切った東京美々卯もその一例だ。路頭に投げ出された従業員は「不当解雇だ」と怒る。「コロナ便乗解雇」の深層を追った。(ジャーナリスト 北 健一)

常連客からは
閉店を惜しむ声

 うどんすきの名店として知られる東京美々卯(本社=中央区京橋、佐藤俊三社長)は、1973年、泉州・堺の料亭にルーツを持つ美々卯(本社=大阪市中央区、薩摩和男社長)からのれん分けする形で設立。京橋店を中心に東京圏に6店を構え、多くの客に愛されてきた。

 京橋で生まれ育った日枝神社御坊講講元の木下茂さん(72)は「町会の忘年会、新年会、お祭りの決起集会で必ず使ってきました。おいしいし胃もたれしない」と振り返る。

 うどんすきの味の秘密は、北海道産の利尻昆布、土佐清水産の宗太鰹節、枕崎産の本枯節から2時間かけてとった出汁(だし)にある。