そうだとすれば、清算を促す薩摩氏の「天の声」に、東京美々卯役員たちがあらがい難かったこともうなずける。

 従業員組合は、解雇撤回と営業再開を求め、東京美々卯だけでなく「親会社格」の美々卯にも団体交渉を申し込んだ。

 すると美々卯は、5月27日付文書で返事を出し、「この度の解散」は「新型コロナウイルスによる業績の落ち込みを受けて、手元資金がある間に閉店するという決定を東京の経営陣だけで協議して行ったものであり、美々卯は、かかる東京の決定を事後承諾したにすぎません」と説明した。

 組合は解雇撤回などを求め東京都労働委員会に救済申し立てを行い、近く提訴も予定している。

 取材に対し東京美々卯は、「当社が無借金で手元資金も残っていたのは事実だが、コロナの影響で売り上げが落ち込み、先行きも見通せなかった。当社と美々卯とは、グループと言われればそうかもしれないが別法人。会社清算は当社が決めたことで、薩摩さんに言われたからではない」と話した。

社員や顧客の声は
薩摩社長に届くのか

 ある店長は、社内会議での会話が忘れられない。

「『予算がなぜ未達か』と詰められた店長が『頑張ります!』と答えたら、薩摩社長が言ったんです。『頑張るって何なの』。(経営)数字の人なんですよ」

 東大卒ということもあり「数字重視」の経営者というイメージが強いが、薩摩氏には別の顔もある。

 うどんすきは同社の登録商標だったが、他社に勝手に使われた。美々卯は裁判を起こすが、最高裁で敗訴する。

「うどんすきはすでに一般名詞化している」というのが敗訴判決の理由だった。

 この時、薩摩氏は、従業員を集めてこう言った。