「志(こころざし)入試」スタート。何のために学ぶのか?
課題探究で志の芽を育てる

足立学園中学校・高等学校

昨年創立90周年を迎えた足立学園。建学の精神は「質実剛健・有為敢闘」。北千住で地域に愛される学校として歴史を重ねてきた。難関国公立大を狙う「探究コース」は3年目を迎え、昨年度からユニークな「志入試」も導入、授業改革が進んでいる。

足立学園 中学校・高等学校
井上 実校長

 2020年度の中学入試から、「志入試」が始まった。足立学園を第1志望とする受験生が対象で、志望理由や入学後の抱負や将来の目標を書いたエントリーシートと通知表を提出、2科(国語・算数)の基礎学力テストと親子面接で選考する。

「初年度から136人の応募がありました。基礎学力と面接を重視しながら選抜させていただいたが、線を引くのが難しいくらい優秀な子どもたちが集まってくれました」

 そう手応えを語るのは、「志入試」を考案した井上実校長だ。「志入試」に合格した子が特別奨学生入試も受験して合格した例も多く、志の高さと学力との相関も判明した。

「受験生はまだ小学生であり、壮大な志こそありませんが、エントリーシートを見れば“志の芽”を持っていることは分かります。親がただ“勉強しなさい”と言っても、子どもの心には響かない。何のために学ぶのか、世の中にどんな貢献ができるのか。本物のやる気を起こさせるためには“志”が必要です」(井上校長)

 足立学園では高校に「探究コース」が設置されている。東大をはじめとする難関国公立大や海外大を目指すコースで、授業は「課題探究」と「進路探究」の二つが軸になる。特に「課題探究」では、答えのない課題に向き合い、探究する能力を育成する。

 生徒のテーマの中には、「平安時代と現代の恋愛の違いは何か」というものや、「音力発電の実用化」などさまざまなものがある。アプローチの仕方も、論文や文献を中心とするもの、フィールドワークによるもの、自分たち自身を研究対象の一部とするものなど、バラエティーに富んでいる。最初は単なる興味関心でも、探究活動を続けているうちに疑問が止まらなくなり、探究にいつしかのめり込んでしまうという。

探究をきっかけに
“志”が生まれる

「探究コースを開設して今年で3年目、課題探究の内容は年々高度なものになっています。探究のテーマが自分の将来に結び付き、その進路の目標を達成するために基礎学力を鍛えなければ、と勉強に取り組む生徒も出ています。探究をきっかけに“志”が生まれるような理想的な展開になってくれることを期待しています」と井上校長。

 高校では全てのコースで、神奈川県茅ヶ崎市にある松下政経塾を訪れ、先人たちの立志活動を学ぶ“「志」探究”というプログラムも実施している。

 かつて吉田松陰の松下村塾には入塾テストがなく、問われたのは「何のためにこの塾に来るのか?」だけだった、と語る井上校長。まさに志の有無を問うもので、それは足立学園の「志入試」に共通する。

「保護者の方々には、志入試で“うちの子はこんなことを考えていたのか!”と気付いてほしい。その志を尊重することが、子どもの成長につながると思うからです」(井上校長)

子どもたちに本物のやる気を起こさせるためには、“志”が必要。自分の志を書いたボードを掲げる生徒たち
足立学園中学校・高等学校
https://www.adachigakuen-jh.ed.jp/
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